代表挨拶
K-SCANへようこそ
K-SCAN(けいはんな科学コミュニケーション推進ネットワーク)代表
池内 了
現在の私たちは、科学・技術文明を生きています。科学・技術によって生み出された、生活を豊かで便利なものとするさまざまな成果に囲まれて生きることができているからです。それによって、70億人の人間が地球上に生きることができ、健康で長生きをすることができ、インターネットやケータイによって多量の情報の流通が速くなり、顕微鏡や望遠鏡・電車や飛行機・さまざまな便利な道具類やコンピューターによって目・足・手や脳の能力を飛躍的に高めることができるようになりました。私たちは科学・技術の力によって暮らしを豊かにし、充実した学習の環境を整えてきたのです。もっとも世界には、まだ飢えで苦しんでいる多くの人々、エイズや貧困のため早く亡くなっている人、情報の弱者、近代装置の恩恵を受けられない人々が多くいることを忘れてはなりません。それらの人々が、せめて私たちと同程度にまで科学・技術の恩恵を受けられるよう貧富の解消に努力することは同じ地球に住む私たちの責任と言えるでしょう。
ところが、科学・技術文明のなかに生きていながら、科学に縁遠い人や科学を毛嫌いして敬遠している人を多く見かけます。科学のお世話になりながらその中身のことは何も知らず、ただ使う人でしかないのです。そのような人は、科学のふりをしているけれど本当の科学ではない「ニセ科学」に騙されても気がつかないでしょう。あるいは、次々見せられる科学に目移りして本当に大事にすべきポイントがわからず、結局他人にお任せにして自分では決められないということになるのではないでしょうか。いわば科学に使われているのです。そうではなく、科学を使いこなす人間になる必要があるのではないかと思っています。科学はこれからなおいっそう進展し、私たちは科学と付き合う(付き合わねばならない)場面がもっともっと増えてくるからです。そのために、科学の情報をいつも身近に受けるようにする、積極的に科学の講演や語る会に参加して科学の動きを知る、科学実験や科学イベントに参加して科学を実体験する、というように科学と接する場に近づいていくことをお勧めしたいと思います。
K-SCAN(けいはんな科学コミュニケーション推進ネットワーク)は、多くの人たちに、特に未来を担う子供たちに、常に最新の科学と接することができる場を立案し実施するとともに、さまざまな先進的企業や研究所が集まっているけいはんな学研都市の有利さを生かして、研究者や技術者と交流しながら科学が生産現場にどのように展開しているかを学ぶ機会を提供することを目指しています。また、学校の先生たちが研修したり、親子が参加して科学を体験したり、講演会や優れた科学映画を鑑賞して最前線の科学を知る、というようなイベントを通じて科学が生活の中に生きるよう取り組んでいこうと考えています。
まずは、K-SCANのイベントに参加してみてください。そうするなかで、もっと科学と付き合ってみよう、と思うようになるでしょう。
意欲をもって仲間に加わってくれる君たちを待っています。